いつか、きっと。
「階段ば踏み外すとは、友也も意外とドジなとこのあっとな。まあ、ちょっとくらいドジもせんばやろ。完璧な人間なんてつまらんし。明日美、お前がしっかり支えてやらんばいかんぞ」



「う、うん」



お父さんは多分気付いているだろう。

友也が怪我したのは単なるドジではなくて、ちゃんと理由があるってこと。

いつかきちんと話そう。



「さ、みんな席について。友也くん大丈夫?お父さん結構腕力あるとよ」



「そうぞ友也、腕相撲やったら負けんばい」



「俺がおじちゃんに敵うわけなかやろ!あー痛かった……。"愛の鞭"」



「はいはい、みんなお腹空いたやろ。食べようよ」



こんな風にみんなで囲む食卓は久しぶり。

しかも今日は友也も一緒だから、嬉しすぎる。

福岡に発つ時には、こんなに早く帰るつもりもなかったし、まさかこういうことになるとは思ってもみなかった。



みんなで食べるご飯はとっても美味しい。

お母さんの愛情がこもっているから当然なんだろうけど、それだけではないよね。









「お父さん、今日は飲み過ぎじゃなかと?もうそろそろ……」



飲むのやめた方がいいんじゃないかな。


「あ?今日の酒はなんか知らんけど特別美味か気のすっばい。ほら友也!お前もまだいけるやろ」



「おじちゃん強かって。もう俺無理ばい……」



友也はしばらくお父さんに付き合ってビールを飲んでいたけど、さすがにこれ以上はきつそう。

明日は日曜日なんだし、友也とゆっくり過ごせたらいいのに。

どこかに出かけるのもいいなぁ。

だから二日酔いなんてやめてほしい。

なんとかして友也を早く帰すことはできないか……。



ちょっと待って。

友也のご両親は今日は帰ってこないはず。

ってことは、友也は今夜ひとりってことだよね。

酔った友也を介抱するって大義名分付きで、御子柴家までついていっても大丈夫なんじゃ?



お父さんは今、和室でひとりで飲んでいる。

このまま放っておいたら寝ちゃうんじゃないかな。



「ねぇ、友也も今日は飲み過ぎじゃなかと?」



「おじちゃんが飲ますっけんなぁ……」



何か言いたげな目で私を見てくるけど、もしかしてそれって。



「友也、眠たかっじゃなかね。もう帰って寝た方がよかかもよ」



『私が友也の部屋まで送っていってやろうか』

という心の声は、押し留めた。



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