課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「あっ、羽村さん。
 いらしたんですね」
と言う雪乃に、

「いや、居なかったらどうしようと思ってたの?」
と訊くと、

「真湖さんにこれを渡して帰ろうと思ってました」
と自分が買ってきたのと同じコンビニのプリンを見せてくる。

「すみません。
 羽村さん、途中で切ってしまわれたので。

 なにか怒ってらっしゃるのかなと思うと、恐ろしく。

 電話をかけられなかったので、直接、来てしまいました」

「なにその、毒を喰らわば、皿までみたいなの。
 怒ってる僕を見るの、嫌じゃないの?」

「怒ってらっしゃるんですか?」
と訊かれたので、

「……怒ってないよ」
と言いながら、そのプリンの入った袋をもらい、

「真湖りん、プリンだって」
と振り向くと、何故か自分のコートが目の前に突き出された。
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