課長の瞳で凍死します ~羽村の受難~
「――でも、それで僕が君を好きになるかはわからないけど」
と笑ってやると、ええーっ? と雪乃は声を上げる。

 その顔も可愛らしく、笑いながら、羽村は言った。

「だって、いつかは僕も年をとって、顔も変わってしまうかもしれないしさ」

「はっ、羽村さんは、きっといつまでも格好いいですっ」
と両の手に拳を作り、訴えたあとで、雪乃は、いやいや、と言い直した。

「でも、格好よくなくなっても、きっと好きです」

「いやー、それはどうだかねー」

「ほんとです。
 羽村さんがおじいさんになって、しょぼくれても――」

「ごめん。
 ……僕、しょぼくれたじいさんになる予定、ないからね」
と言ったあとで、

 それから――
と雪乃を見る。

「おじさんのため、とか言うのも、もうやめてよ」

 ……はい、と照れたように笑って、雪乃がこちらを見上げた。
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