白銀のカルマ
性や薬、持病、偏見に縛られがんじがらめになり、半ば社会のお荷物状態になっている自分が人から感謝されること自体信じられない。

「………君が無事で本当によかった」

これまで自分の行いや言葉で人を傷つけて恨まれたことならいくらでもある。

あんな女を連れ込んだことを責められてもおかしくないはずなのに、君は俺が助けたことをいつまでも感謝してくれた。

こんなトラブルメーカーにどんな価値があるのか今でもよく分からない。

けれど君は俺が苦しい時はいつも隣で何も言わず寄り添ってくれたおかげで、性や暴力に支配されてきた人生に少しずつ血が通うようになっていった。

「おはよう」

心の拠り所がいつも横にいる。

朝も昼も晩も。

自分には幸せすぎるのではないかと一瞬思ったがその反面こんな生活がいつまでも続けばいいと本気で思った。

けど人生なんて教科書通りにいかない。

いつも良い所で崩れ去っていくのだ。



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