白銀のカルマ

　心身ともに傷ついた先生を癒すつもりでいたが、当の僕の方が昼過ぎまで爆睡し、先生の家で疲れを癒していた。

「ん……」

目が覚めたのは午後2:00頃。

早朝に帰って隠蔽するつもりでいたのに、これでは一日外泊していたことが丸分かりじゃないか。

自分の失態に思わず額を叩いた。

それに一日10時間以上寝てしまったせいか体も無茶苦茶痛い。

他人のような体を無理やり起こすと、布団と寝巻を片付け先生がいるであろう居間に降りた。

「あ、優一くん。おはよう。紅茶飲む?」

「……おはようございます。あ、ありがとうございます」

　やはり先生は予想通り居間にいた。

食欲があまりないのを分かってくれていたのか、朝食ではなく飲み慣れた紅茶と軽食を出してくれた。

気分が優れず、きちんとしたご飯を用意出来なかったことを稲倉は申し訳なさそうに詫びたが、そのお心遣いだけでも十分だと優一は微笑んだ。

あんまり気を遣わせたくない反面、おそらく軽食でもなかなか喉を通らないと考えていたので、これくらいの量で丁度良かった。

軽食をいつもより時間をかけて完食すると、先生に精一杯頭を下げ、一刻も早く自宅へ帰ろうとした。

「え………?」