白銀のカルマ
自分に背を向けた優一の腕を物凄い力で掴んで、引き留めてきたのだ。

そして今まで見たことないような険しい表情に怯んだ優一はその隙をつかれ、稲倉の胸に一気に引きずり込まれてしまう。

「離してください、先生………、痛いです………」

離してくれと懇願するも和巳は、一切聞く耳を持とうとしない。

それどころかその力は増す一方だった。

「帰るってどこへ?…あんな母親の所に帰ったってあなたは幸せになれないわよ?」

「………!」

「ず~っと私と一緒にいるの……。私の可愛い優一くん……。」

そう言って優一の顔を鷲掴みにすると、無理矢理唇を奪った。

必死で抵抗するも稲倉の力は思いのほか強く、簡単に逃げ出すことができなかった。

このままだと全てを〝奪われる″。

貞操の危機を感じた優一は、咄嗟に稲倉の唇に噛みついた。
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