あたしを知らないキミへ

お弁当を前に、あたしが朋美に話をしようとした時だった。

「恵美加・・あのね」
先に話し出したのは、朋美の方だった。

でも、なぜだか朋美はあたしの顔を見ようとはしなかった。
ただ、うつむいているだけ・・。

「なに？」
「・・」
あたしの催促に少しだけ朋美は、悲しそうに眉間にしわを寄せた。

「昨日M高校の友達から連絡がきててね・・。その・・紘樹先輩、最近・・彼女ができたみたいなんだ・・」
「・・・」

なんだろう・・
頭を大きな石で殴られたみたいな衝撃が走ったのが分かった。
朋美からの言葉に、しばらくあたしは何も返すことが出来なかった。