あたしを知らないキミへ
その場にいた人も、あたしと同じように後ろを振り返って花火を見上げている。
きっとアンタも、この空を見上げているのだろうか。
今はアンタがあたしの後ろにいるから分からないけど、きっと皆と同じようにアンタもこの空を見上げているんだろうな・・。
あたしは、もうアンタがいる後ろを振り向けない。
多分、今よりももっと沢山の涙が零れ落ちそうだから・・。
「朋美・・」
「ん?」
「もう遅いから帰ろう」
その時、朋美がふいにあたしを抱きしめたんだ。
何も言わず、ただ優しくあたしの背中をさすってくれた。
そして、あたし達は歩き出した。