あたしを知らないキミへ
「あ、金魚じゃなーい。かわいいわねー」
子供みたいにお母さんは、嬉しそうに金魚の袋を見つめる。

「お祭り楽しかった?」
「うん。すごく」
「そう。よかったわね」

「ねぇお母さん」
「なにー?」
「お父さんの嫌いなところってある?」

あたしの突然の質問に、最初驚いた表情を見せたお母さんだったけど、
「そ~ね~」
少しだけ楽しそうに考え込んでいる。

「お父さんの嫌いなところはないかな」

「・・そっか」
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