あたしを知らないキミへ
アイツが降りる電車も通り過ぎて、今度は彼女が乗って来る駅に着いた。

美麗先輩は、電車の中からでもすぐに分かる。
やっぱり綺麗だし可愛い。

あたしなんかじゃ叶うわけないのに。
そして、いつも決まって溜息を漏らすあたし。
今日も美麗先輩は、髪の毛をポニーテールに少しだけゆるく巻いている。

しばらく美麗先輩を見ていた目を逸らして、あたしはまたしばらく電車に揺られていた。

「まもなく〇〇駅ー〇〇駅ー。お出口は左側です」
そんな車掌さんの声と共に電車は、最寄りの駅に停車した。

朋美と電車を降りて、学校までの道のりを歩いて行く。
偶然にも、あたし達が歩く前には美麗先輩が歩いていた。

甘いコロンの香りが、あたしの鼻を揺らした。
きっと美麗先輩がつけている香水だろう。
いつも美麗先輩は一人で歩いているけど、今日は友達と二人で歩いていた。
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