あたしを知らないキミへ
賢斗と話をしていると、自分を安心してさらけ出せた。
だから、そんな賢斗との場所が居心地よく感じた。

それからしばらくあたし達は、2人でアップルパイを食べながら、何気ない話をしていた。

帰り際、賢斗は必ずあたしを優しく抱きしめた。
その賢斗の気持ちに答えるように、あたしも賢斗の背中に腕を回したんだ・・。


「いってきます」
「いってらっしゃーい」

ワンワン‼

あたしはいつものようにサキの頭を撫でてから学校に向かう。
最近は、当然朋美と一緒に学校に行っていない。
だからあたしは、今日も一人。

いつもより家を遅く出たせいか、あたしが駅に着く頃にはもう赤いランプが点滅していた。
少しだけ小走りになりながら、駅のホームに向かったらあたしの見覚えのある背中が目に飛び込んできた。
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