フレテフレテ enter into



「…俺さ、沙絵の事好きだけど、もう愛してるか分からない。」



斗真は背中を丸めてダニングテーブルに頭を伏せた。
今まで聞いたこと無い大きなため息をついた後、私を真っ直ぐ見た。



「沙絵、俺このままお前と一緒にいれない。悪いけど別れ…」



「待って!待ってよ…突然すぎるし頭が追いつかないよ!」




斗真が別れを切り出すのを必死で阻止した。
すると斗真は飽きれたような顔をした。



「沙絵、本気か?本当に突然だったか?俺はずっとお前に言ってた。俺はお前が俺の為にキレイにしてくれてるのも嬉しい。俺はお前の何処に惚れたと思う?スッピンでゴロゴロソファに寝転ぶお前やあくびしてボーッとしてたり、俺のために慣れない料理を頑張って作ってくれてた素の沙絵のほうが愛しいんだよ。なのに付き合って時間が過ぎればすぎるほど本当の沙絵が見えなくなったよ…」



私は何も言い返せなかった

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