フレテフレテ enter into
「…やっぱり分かってくれないんだな。」
それから数カ月がたち、街がクリスマスで染められる頃、彼は今までに見せたことがない冷たい視線を向けて私に言った。
「俺はお前が好きだよ。一生懸命頑張って俺の為にオシャレしてくれてるのはわかる。でもさ、頑張ってくれる事ってそこなのかな?」
「…何がいいたいの?」
「俺らさ、交際期間含めれば7年くらいたつよな。結婚して2年。ハッキリ言うけど、沙絵は妻らしいことしてくれたか?」
斗真が、言いたい事が分かってしまった。
「こんなこと言いたくないけど、結婚してから沙絵、ますますオシャレに磨きがかかったようで、そっちにばっかり集中してたよな。飯も基本惣菜、キッチンにたつのだって基本俺だよな。洗濯だって結局やらないから俺やってるのわかる?お前、その時何してるか覚えてるか?ネイルしたり、服広げたり…」
「…ご、ごめん。でもそれは斗真…」
「何?俺のせいなの?俺が浮気しそうだからされないように自分磨き?確か前に俺にそういったよな?」
斗真と付き合ってから嬉しかった。
そのぶん不安も増えた。
斗真は私と付き合ってからも女性から声がかかっていた。もちろんちゃんと断ってくれてたのは知ってる。
でも不安だった。
きれいにしてなきゃ、離れて行っちゃうんじゃないかって。
それは結婚してから更に歯車が掛かったように加速していった。。