幼な妻だって一生懸命なんです!
「…何があったんだ?!」
いつもより強めに言葉を吐く要さんが、 質問したことに答えない私に苛立っているのがわかる。
「何も…何もない」
唇を噛み締めて涙をこらえる。
「また由香に何か言われたのか?」
今、一番聞きたくない名前が要さんの口から出て冷静さを失う。
由香なんて呼ばないで。
いつの間にか自由になった手を要さんの首に巻き付け、ギュッと抱き付く。
私に引き寄せられるように重なって来た要さんの肩に顔をうずめて、唇に触れた首すじに吸い付くようにキスをする。
「はぁ…」
ひとつため息をついた要さんは、私の腰に手を添え、それを自分に押し付けた。
「俺はどんな美波でも、こうして反応してしまう。それくらい愛おしい存在だってわかってるか?」
首すじに顔を埋めたまま、コクンと頷く。
要さんの愛情はいつも感じている。
だから、余計にさっき見た光景が信じられなかった。
「美波、おいで」
ソファから立ち上がり、要さんは私を寝室に誘う。
何があったかなんて言わなくても、いつものように私を大きな愛で包んでくれるだろう。
無言のまま、彼の後を追いベッドにストンと座ると、要さんに押し倒された。