幼な妻だって一生懸命なんです!


大きな手が私の身体を(もてあそ)ぶ。
そのまま溶けてしまいそうだ。

優しく触れるだけのキスも、激しく押し付けるようなキスも、私の身体が喜ぶところを知っているその手も、射抜くような瞳も、すべてが愛おしい。

やっぱり、この人が好きだ。

「要さん…好き…」


「うん」


「大好きなの…」


「うん、わかってる、わかってるから」

要さんの瞳が鋭くなる。
その瞳から目をそらせずにいると、せつなく笑い私の耳元に唇を寄せて、そっと囁く。


「美波…もう無理…いい?」


そう言いながら、当たり前のようにサイドテーブルの引き出しから銀色の袋を取り出した。


ああ、やっぱり...


勇気を出して、私の思いを口にする。


「要さん、付けないでして下さい」

恥ずかしさと切なさで視界が滲む。
要さんの目が見開いて驚きを隠せない様子だ。

少し考えた要さんは、私から目を逸らし一言言った。

「、ダメだ」

私の中で何かが音を立てて崩れていく。
目の前が真っ暗になった。

「どうして?私との赤ちゃんは…いらないってこと?由香さんが連れていた子はあなたの子なの?」

叫ぶように言葉を吐く。
もう止まらない。


「美波?お前、何言ってるんだ」

要さんの動きが止まり、胸に浮かび上がる筋肉だけがビクッと動く。
あまりにも突然の私の言動に、今までの甘い時間がガタガタと崩れていく。
自分でも衝動的な言動が信じられず、小さく震えていることがわかる。


「美波…」

要さんがすべての行為を停止させ、私を引き寄せた。


「イヤ!」

反射的に要さんを拒否してしまった。
自分でもその行動に驚き、咄嗟に要さんを見る。


彼は驚いて目を見開いていた。


「美波…」


私の名を呼びながらひどく傷ついた顔をしている。
ズキズキと痛んだ胸が苦しい。


「…ごめんなさい」

要さんの悲しそうな顔を見た瞬間、自分のしたことがどんなに彼を傷つけたか思い知る。


「…いや、イイ。ちゃんと休め」

要さんはシャツを拾い上げると寝室を出て行った。
私と視線を合わさずに。



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