花のように。
きっと緊張している恭介をみるのが
この日だけだったように感じるからかな。
この日に戻りたいとあの頃はよく思っていた。
2人で近くのベンチに座った。
海の音を聞きながら、
高校の話をしたり、
仕事の話をした。
彼女の話はしたくなくて、
なにもきかなかった。
「寒くなってきたね」
「うん」
恭介が手を握ってきた。
「つめたっ」
「恭介はあったかいね」
恭介の横顔がすごく恥ずかしそうにしていた。
つられてあたしも恥ずかしくなる。
「寒いからそろそろ車に戻ろうか」
恭介がそういって
手をつなぎながら車に戻った。
車の中、お互いにまた緊張感がもどってきた。
まだ帰りたくない気持ちが
お互いにあることに
お互い気付いていたんだとおもう。
恭介がこっちをみてきた。
あたしはつい下を向く。
キスをしてくると思ったから。
下を向いていても恭介の体が近づくのがわかる。
そっと恭介はキスをしてきた。
キスをしてきた時、
恭介も私のことを
好きなんじゃないかって
思っていた。
自惚れていた。
恭介はキスをしながら
助手席を倒してきた。
何度もキスをしてくる。
恭介の手が服越しに胸をさわってきた。
好きな人に求められて
私は恥ずかったけれど、
嬉しかった。
吐息だけが車の中で聞こえる。