極上旦那様ととろ甘契約結婚
もしや、と思う気持ちを抑えつつ訊ねると、修吾さんはゆっくりと頷く。

「成美のお母さんのお葬式だった日。俺も母を亡くして、その火葬場にいたんだ」

「もしかして……」

修吾さんの言葉にあの時の情景が頭の中に蘇る。
火葬場。登っていく煙。それを隣で一緒に見続けていた人。

「うん、俺なんだ」小さく頷いてふいと横に顔を向けた修吾さんは、そのまま庭を見つめたまま静かに話し出す。

「もう少しで大学卒業ってタイミングだったんだ。母は元々持病があったし、俺も成人して親離れもしてたしね。でも実際に母を亡くしてみたら想像以上にショックで酷く堪えたよ」

「年齢とか関係ないですよ。ショックなのは当然です」

関係が良好だったのなら尚更。その存在の喪失感は年齢とは関係ないと思う。

私の言葉に小さく首を横に振った修吾さんは正面に向き直り、小さくため息を吐くように笑った。

「火葬場の案内板や周囲の話で、隣の控え室は高校生の娘を遺して亡くなった女性だって知ってはいたんだ。自分と同じ母親を亡くした、しかも少女ならどんなに打ちひしがれてるだろうと想像したよ」

だから興味が湧いたのだと言う。

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