夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~

「あと、アイスが食べたいです。おいしいの」
「味は?」
「……バニラとチョコとイチゴと抹茶以外で」
「どういう注文の仕方なんだ、それは」
「あんまり見かけないような味のものがいいんです」

(探すのに時間がかかりそうだから)

 騙しているようで申し訳なさはあったけれど、これも“私”から春臣さんを守るためだった。風邪を引いても仕事を休まないと言質を取った今、こちらも遠慮する必要などない。
 春臣さんは少し考え込んだ様子を見せた。どこの店に行けば目的のものが揃うのか考えているに違いない。

「ゆっくり探してきていいですからね」
「……俺を追い出そうとしていないか?」
「そんなことないです、気のせいです」
「…………」
「あ、あと桃が食べたいです。缶詰でいいので」
「わかった」

 納得していない様子ながらも、やっと私を解放してくれた。
 ぬくもりがなくなって寒いなんて思ってはいけない。寂しいと思ってもいけない。甘えすぎて迷惑をかけるのだけは絶対に避けなければならないのだから。
< 128 / 169 >

この作品をシェア

pagetop