夫婦はじめ~契約結婚ですが、冷徹社長に溺愛されました~
 そんなこれまでのことを思い返し、春臣さんに向き直る。

「ちょっと不思議な気持ちです」

 かつては未来への不安と諦め、小さな絶望にも似た感情でいっぱいだった。
 なのに今はそのどれも消え去ってしまっている。

(全部、うまくいった)

 受け入れるしかないと無理矢理に飲み込んだ最初の結婚式。
 今は、この日を迎えられて心から嬉しいと感じている。

「またあなたと結婚式をする日が来るなんて思いませんでした」
「ちょうどよかったんじゃないか。ここからが本当の夫婦生活のはじまり、ということで」

(……春臣さんが言うと、なんだか……)

 愛も恋も情も抜け落ちているのかと思っていた人が、本当の夫婦生活への仕切り直しを喜んでくれている。
 今度は心からの愛情を私に惜しみなく与えて。

「じゃあ、今日は“夫婦はじめ”の日ですね」
「……そうかもしれないな」

 生涯をともに生きる伴侶の顔を見つめる。
 プランナーが式の始まりを告げに来るまで、ずっと記念すべき今日を噛み締めていた。
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