あの日の空にまた会えるまで。


「この話はいいだろ。俺昼飯買ってくるわ」
「あ、待って悠斗!春ちゃんと一緒に行ってもらってもいい?春ちゃん初めてだし」
「いいぞー。行こう春」

まだ色々知りたそうな春ちゃんがそそくさと食券を買いに行く悠斗を慌てて追いかける。

待ってあげたらいいのに…と自由人すぎる悠斗に対して思う。まぁ悠斗はいつも自由人だからなのかレディーファーストとやらは一切頭になかったりする。私は全然気にならないし、付き合ってた時も気にもとめなかったけれど、第三者となって見てみたら少しは女の子を気にかけてあげたらいいのにと思う。

もしかしたら付き合ってたとき周りの視線もこんな感じだったのかもしれないと思うと、やっぱり私たちは友だち以上にはなれないなとちょっと笑ってしまう。

「春、めっちゃ可愛い子だね」
「そうだねぇ。真央が可愛がるタイプだよね」
「あんたやばいんじゃない?」
「なにが?」
「悠斗だよ!悠斗と良い感じになったらどうすんの」

またきた…

「別に良いと思うけど」
「ふーーーーーん」

無駄に言葉を伸ばして、私を確かめるような顔で見つめてくる。

なんなんだ、本当に。

「悠斗の自由じゃん。良い感じになろうがならないが、私には関係ないことだよ」

悠斗に好きな人ができたら心の底から応援するし、逆に悠斗に好きな子はもっと大事にしろと背中を押すかもしれない。悠斗が女の子に優しいのは知ってるけど、皆に優しい分、女の子の気持ちには少々疎いのも知ってる。

そうなると私も悠斗とはもちろん距離を取るだろう。元カノと未だに仲が良いのは気持ちのいいものじゃない。

……と、まぁ色々思ってはいるけれど、別れてから悠斗からそんな浮ついた話を聞かない。そして同じくそれは私もだ。

「買ってきたよー」
「おかえりー」

お盆を手に持った2人が戻ってきた。

「ちゃんと買えた?」
「うん!ここのメニューすごいね!いっぱいあるしどれも美味しそうで迷っちゃった」
「ガラスにへばりついてたしな。とりあえずアイス溶けるから先にアイス食おうぜ」

先にアイスを食べてから買いに行けばよかったのに…とはアイスを買ってきてくれた悠斗に言えない。

「そうだ!今度ね、交換大学生の皆でご飯に行くんだけど葵ちゃんたちも一緒に行かない?みんなここでできた友だち連れてくるんだって!さっき連絡もらったの」
「へー、楽しそうじゃん」
「真央行く?」
「んーー、葵は?」
「バイト入ってなかったら行こうかな」
「私もバイト次第かなー。日にち決まったら教えて」
「わかった!」

そうして、私もお弁当に手を伸ばした。



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