あの日の空にまた会えるまで。
きっと、硬直してしまうのだろう。あの日の時のようにきっとまた逃げる。
会いたいかと聞かれれば会いたいと思う。
けれど、会いたくないかと問われれば会いたくないとも思う。
「……私は会いたいけどね」
「えっ…」
ボソッとそう呟いた真央に驚く。
「そりゃそうでしょ!どういうつもりであんたを傷付けたのかって怒鳴りつけたいから」
「……真央」
奏先輩が姿を消したことで傷を抱えてしまった私を一番近くで見ていたのは真央と悠斗だった。2人が必死になって支えてくれたから、今の私がある。あの頃、自暴自棄に陥ってしまった私を側で見ていただけに奏先輩に対して思うことはあるらしい。
そういえばあの頃、奏先輩に対して一番怒りを露わにしていたのは真央だったなと思い出して苦笑した。
「あの頃の葵、やばかったんだよ。覚えてる?」
「……うん」
全てに対して興味がなくなり、何もかもがどうでも良くなった。目に映る全てが色褪せて、虚無感と絶望感に苛まれ、ただただ泣いた。初めての本当の恋をして、そして初めての裏切り。立ち直るのに時間がかかってしまった。
ちゃんと勉強もして、それなりに笑って過ごしていたはずなのに哀しくて寂しくて、何かに没頭しておかないと崩れてしまう。忘れられる何かが欲しかった。あの人を心の中から追い出せる何かが、欲しかった。
真央と悠斗がずっと側にいて、支えてくれた。2人だけじゃない。受験勉強で忙しいはずだった蓮先輩も時間があれば会いにきてくれた。心の支えだった人たちがいなかったら、私はどうなっていたのだろうか。
「気持たせることしてといて実は彼女いました、でも卒業式の日には会いたい。なのに会いたいって言った本人はあんたに何も言わず彼女と失踪って、馬鹿にしてるでしょ。人の気持ちを何だと思ってんの」
「……」
「挙句、今更出てくるなんて、クズにもほどがあるよ」
「……言い過ぎだよ、真央」
「目の前から消えて葵のことを裏切ったなら、裏切ったままで良かったのに」
「……」
「ついでに私はあんたも分かんないけどね」
いきなりの私指名に驚く。
分からない…?