あの日の空にまた会えるまで。


しかしーーー

1年ぶりの突然の再会に、疑問が浮かぶ。

連絡は取り合っていたとはいえ、このタイミングでのいきなりの誘いにはきっと理由があるんだ。

その理由には最初から気付いている。私は馬鹿だけど、それに気付かないほど馬鹿じゃない。

「……何か、話があったんでしょ?」

静かに問い掛けた自分に、蓮先輩は小さく笑って首を振った。

「話なんてないよ。ただ、笑ってるかなって様子を見たかっただけ」
「え?」
「泣いてないかなって」

カチャン、とコーヒーが入ったティーカップがテーブルに置かれる。蓮先輩は両腕を組み、それをテーブルに乗せた。


「ーーー会ったんでしょ?あいつに」


予想していた話題にも関わらず、心臓が止まったかのようにドキリとした。

きっと、悠斗から聞いたんだろう。だからこうして様子を見にきてくれたんだ。嬉しいような、切ないような。そんなよく分からない感情が渦巻く中で、私は目を伏せた。

「……どうしたらいいのか、分からないんです」
「…うん」
「同じ構内にいるのなら、きっと何処かでまた会うと思うんです」
「うん」
「その時、私はきっと笑えない。怒ることも、何かを話すこともきっとできない。顔を見ることさえ出来ないかもしれない」
「うん」
「私、どうしたらいいのかな…」

最後の一言はまるで独り言だった。

今の私には何も答えが出せないんだ。全てにおいて分からないばかりで、自分の中で何の整理も出来ていない。時は待ってはくれないのに。分からないと嘆くばかりで、その間にまた突然に顔を合わせてしまったら…きっとまた、逃げることしかできない。

「……それでいいと思う」
「え?」

弾くように顔を上げた。視線を向けてみれば、蓮先輩が優しく微笑んでいた。

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