擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
YOTUBAの忘年会は飲酒運転や安全を考慮して一泊二日で行っている。
毎年経費で落としていたのだが、今年は社長に却下されたたらしい。
「これは私がどうにかできることじゃないです。私よりも、副社長にお願いしてみてください」
「そうか、やっぱりムリだよね。私もそう言ったんだけど、総務課の女史が河村さんに頼んでみてほしいって言うから仕方なく……あ、いいんだ。気にしないで仕事して」
経理課長も板挟みにあっているのだ。少し気の毒である。
しかし、お茶当番に忘年会の費用もだなんて、今日は頼まれごとが続く。
たまたまのタイミングなのか、誰かの入れ知恵なのか分からないけれど、こういうことを一度引き受けてしまったら、次から次へと亜里沙の元に依頼がきそうだ。
ゆえに頼んでも無駄だと浸透するまで、亜里沙は断り続けるしかない。
──それで、冷たいって言われちゃうんだろうな……。
佐々木と有田が自分を睨んだ目を思い出し、亜里沙はがっくりと肩を落とした。
仕事を終えて家に帰った亜里沙は家庭的な料理を作った後、九十九本の薔薇を見つめていた。
あれから十日ほど経っているが、薔薇はいまだ瑞々しく美しい色を失っていない。環境が合うのか、亜里沙の手入れがいいのか。
『こんなに大切にされるとうれしいものだな。毎日花を贈りたくなる』
一本一本水切りして花の世話をする亜里沙を見て、彼は目を細めていた。