擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
『違うの、雄大さん。素敵なことは毎日じゃなくて、極々たま~にある方が、何倍もうれしく感じるの』
『そうか。それなら俺は、亜里沙のうれしさのために、気持ちを抑え気味にしなくちゃいけないのか。結構難しいな』
真剣な面持ちで言うものだから、思わず赤面してしまった。彼の愛情は亜里沙の思うよりもずっと大きくて深いのかもしれない。
俺もやるから教えてほしいと言われて一緒に水切り作業したのも楽しかった。
彼は家事も進んでしてくれるし、なにをするにも協力してくれる。きっといい旦那さまになるだろう。
──ほんとうに、私にはもったいなくて……うれしいけれど、私が妻になってもいいのかな。
〝俺は何度でもプロポーズをするよ〟
この花束をくれた日のことを思い返してときめきながらも、昼間のことが頭をよぎる。
最近誰かに監視されているような、鋭い視線を感じることが多くなったのだ。ハッとして周りを見回しても誰とも目が合わない。
みんなデスクに向かって仕事をしているから、気のせいと思ってまたパソコンに向かうと、背後にゾクッとするような妙な気配を感じたりする。
でも、振り返ると誰もいないのだ。頼まれごとがあったせいで、自意識過剰になっているのか。でも正直不気味で堪らない。
彼と知り合って愛されて、毎日のように素敵なことばかり起こっていたけれど、今はその反動を受ける時期なのかもしれない。