擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー

──はぁ……なにもかもが豪華すぎて、目がくらみそう。

 フロントでスタッフと会話をする彼を目の端にとらえながら、亜里沙は豪華なロビーを眺めていた。
 
 天井から等間隔に下がっているのは、シャンデリアのようにキラキラ光るクリスタル細工のオブジェ。

 床に敷き詰められた高級感あふれるペルシャ絨毯。

 置かれている革張りのソファは大きくて、相撲取りのように体の大きな人でもゆったりくつろげそう。

 フィットネスクラブやブランドの直営ショップがあるという二階へ続く階段は、優雅なカーブを描いている。

 中央には赤い絨毯が敷かれてあり、柵は金色。綺麗なドレスを着た姫が下りてきそうな雰囲気がある。

 こんな高級なホテルに足を踏み入れるのは、きっと最初で最後だろう。

 本当ならスマホで写真を撮りたいところだけれど、はしたない行為だと思える。ここはしっかり目に焼き付けておかなければ。

 感動のあまりに目を潤ませてきょろきょろしている亜里沙に、女性スタッフが声をかけてきた。

「失礼いたします。コウサカさまのお連れさまですね?」

「え? コウサカさまって……」

 ──彼の名前なの? そういえば、うっかり名前を聞いてなかったっけ。彼はどこにいったの?

 ロビー内に視線をさまよわせると、彼は男性スタッフと一緒にいた。

 亜里沙と目が合うとにっこり笑って、女性スタッフについていくよう合図を送ってくる。

「はい。その、コウサカさんの連れ……みたいです」

 苦笑いを零すと、彼女はにこやかに言った。

「ではご案内いたします。こちらへどうぞ」

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