擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
「そうなんですか。お仕事お忙しいんですね。でも私も、今回は有給消化で来てるから、コウサカさんと変わらないかも」
亜里沙は休暇を取ることになったいきさつを思い出して苦笑した。
楽しい休暇もあと二日で終わってしまう。そうしたら、また仕事に追われる日々が待っている。
「まあ、半ば無理矢理取らされた休暇だったけど、今はここに来て正解だったと思ってるよ」
彼は柔らかに微笑み、ワインをくいっと飲み干した。
亜里沙にぶつかって来たときの彼は、あの時の状況の影響もあるけれど、あまり余裕がないように感じた。それが今は心からリラックスしているように見える。
休みを取ることはいいことだ。心身ともにリフレッシュできるのだから、きっとその後の仕事もより実のあるものになる。
仕事といえば……!
亜里沙はハッと思い出した。
「あの、コウサカさん?」
「ん?」
「あのとき電話は大丈夫だったのですか? やっぱり気になってしまって」
「ああ、あれならもうパソコンからメール連絡したから大丈夫。スマホは休暇が終わってから手配することにしたよ。今は誰にも邪魔されることなく、この時間をゆっくり楽しみたいから」
柔らかい照明のせいか、アルコールの影響か。テーブル越しに見つめてくる彼の瞳が、やたらと艶っぽく見えてしまう。
男性からこんな目で見つめられるのはいつ以来だろうか。