擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
 タクシーで去っていく彼を思いつつ、明日の計画を考えた。


 待ち合わせはリゾートホテルのロビー。

 セレブな場所に相応しいように、小浜館の女将さんに手伝ってもらって髪を結い、メイクも頑張って上品にしてきた。

 服は……安価なリゾートワンピースだけれども、そこは妥協するしかない。

 時間よりも少し早めに来たけれど、すでにロビーにいる彼を見つけた。ソファに座り、新聞を読んでいる。

「コウサカさん、おはようございます」

 話しかけると、彼は腕時計をちらりと見てから顔を上げる。

「……早いね?」

「それはコウサカさんこそ、です」

「いや、俺は……まあ、それもそうだな」

 お互いにクスクスと笑いあい、彼は新聞を折りたたんで立ち上がる。

 亜里沙の目線がぐぐっと上に向き、改めて彼の背の高さを実感した。

 歩きやすいスニーカー履きとはいえ、一六十三センチある亜里沙の視線が彼の胸辺りにある。

 彼の身長は一八十センチをゆうに超えていると思えた。

 こんなに見上げて話しをすることって、滅多にない。

「では、参りましょうか」

 ここにきて海水浴はいつでもできる。けれどスマホがない状態では未知の土地では移動しづらく、ほかの観光スポットには亜里沙のいる今しか行けない。

 いろいろ吟味した結果、最初に案内したのは『幸の水神社』だ。

 健康長寿、交通安全、縁結びなどにご利益がある。

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