擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー
「同席するのは構いませんけれど、私はなにをすればいいんですか?」
「ただ俺の隣に座っていてくれればいい。なにも話す必要ないし、愛想笑いもしなくていいから」
「はい……分かりました」
──それって、接客になるのかな?
彼と一緒に応接室に入ると、ソファには若い女性が座っていて、優雅な仕草でお茶を飲んでいた。
「連城さん。わざわざこちらまでご足労いただき、ありがとうございます」
彼が声をかけると、連城はぱっと振り向いて華やかな笑顔を見せた。
──わあ、すごく綺麗な人……。
肌はきめ細かくて艶めき、髪は美容院に行ったばかりのように整えられていて、爪には飾り過ぎないネイルが施されている。
自分にお金をかけることを惜しまないような感じだ。
品の良いメロン色のブランドワンピースを身に纏い、スッと伸びた細い脚は爪先まで斜めにそろえられている。ふかふかのソファに座っていても姿勢がよく、一部の隙も無い完璧なお嬢さま。
「いいえ、雄大さんのお願いですもの。たとえこのような無名で小汚い会社でも、見知らぬ世界のお城を訪ねるような。そんな、わくわくと浮き立つ心地がいたしましたわ」
さらりとYOTUBAを貶めていて、むかっとする。
彼が愛想笑いをしなくていいと言った意味が理解できた気がした。
けれど彼のお客さまはイコール会社のお客さまだ。この先連城が重要な取引先になるかもしれない。