擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー

 そんなことを考えて、こわばった表情で社長を見つめる男性社員たちは、息をするのも忘れていそうだ。

 ──でも、重大な発表って、なにかな?

 そういえば亜里沙とて、彼がYOTUBAに来た本来の目的を聞いていない。

 高橋の言っていたように業務改革だろうか。

 それとも、先ほど入った電話の内容に、YOTUBAに関する重要事項が含まれていたのか。だから、すぐにこちらに来たのかもしれない。

 会社の存続は亜里沙にとっても重要なことで、職を失うかどうかの瀬戸際である。思わず肩に力が入った。

「実は……」

 そう言った後に彼は言い難そうに咳払いをするから緊張が増す。

「ついさきほどのことだが。プロポーズをして承諾をもらうことができた。つまり私、香坂雄大は、彼女──河村亜里沙さんと結婚することになった」

 ──え? それを言っちゃうの?

 亜里沙はカチンと固まり、室内にはきょとんとした空気が漂う。

 今聞いた内容が真実なのか疑問を持っている表情で、亜里沙と彼を交互に見ている。

 そして、一拍おいた後に大きなどよめきが起こった。

「えええ~!??」

「真面目に、ほんとですか!」

「前からの知り合いですか?」

「プロポーズって、まさか、社長室で!?」

「きゃ~っ、社長ってばイケメンすぎる!」

「おめでとうございます!」
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