擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー

「え、すごく変わってますね……店員さんも来ませんし、いったいどうやって入るんですか?」

「ここに入るには、これを使うんだ。見てて」

 彼がカードらしきものを亜里沙に見せる。それを機械に提示すると、パカッとドアが開いた。

 遊園地みたい。というか、秘密基地そのものだ。

 開いたドアの先は、お洒落な空間が広がっている。

 生演奏のピアノ曲が流れるお洒落でムード溢れる店内は、静かに食事と会話を楽しむ人でいっぱいだ。

 女性ピアニストが曲を奏でるグランドピアノの脇には、小さなステージらしき空間がある。きけば、時折歌手が訪れてディナーショーをすることもあるといった。

 大人ばかりの落ち着いた雰囲気が亜里沙の胸をときめかせる。こんなお店に来たのは初めてだ。

「こんな素敵なとこがあったなんて、知りませんでした。ネットや情報誌にも載ってないですよね」

「ここは、タレントや俳優たちが隠れ家みたいに利用しているらしいよ。会員制なんだけどチェックが厳しくて、すべての条件が整っている人しか、会員になれないんだ」

 その条件は、収入や家柄などが定められた水準以上であること。

 さらに入会できるのは一度お店に訪れた人のみ。その一度目の入店さえも、現会員の紹介が必要ということだった。

「俺も伝手を辿って、ようやく会員になれたんだ。会員数の上限もあるみたいだから、それはもう厳しかった」
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