擬似結婚ー極上御曹司の一途な求愛ー

「すごいですね。VIPがVIPを呼ぶシステムなんですね」

 それほどの手順を踏まないといけないならば、亜里沙のような一般人には縁遠く、公に情報が載ることもないはずだ。

「まあ、そのVIPばかりが利用するせいか、ここでの秘密は絶対に保たれる。店のスタッフだけでなく会員同士でも、ここで見聞きしたことは、外ではいっさい話さないんだ」

 広く世間に知られた人に会っても、むやみやたらに話しかけない。店内で写真や動画を撮らない。電話も緊急以外はでない。など、規則ではないが会員としての暗黙のルールがあるらしい。

「香坂さんは有名な人を見かけたことあるんですか?」

 つい好奇心がわいてしまう。もしも今著名人のカップルを見たら、亜里沙はきっと興奮を抑えられない。

 彼は記憶を辿るように首を傾げたけれど、すぐに首を横に振った。

「いたかもしれないけど、あんまり詳しくないから気づいてないな……。でも、最近大臣になられた大物政治家にはお会いしたよ」

「大臣って、もしかして二週間くらい前に結婚を発表された方ですか?」

 大臣といえば、イケメンの若手政治家が美人アナウンサーとのお付き合いを公表して、先ごろ結婚したと会見されたばかりだ。

「多分、亜里沙の考えてるお方と同じ。おふたりで食事されていたよ」
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