離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「……離婚前提か」


千景の顔が曇ったように見えた。でもそれはほんの一瞬で消え、静かな瞳で百々花を見つめる。

あれ? そうなんだよね?

真意をたしかめるために見つめ返すと、千景は取り澄ましたように穏やかな表情になった。


「そうだな」


やっぱりそうだよね。
ホッとしたような、それでいてさみしい気持ちになる。


「ちなみに楽しくって、たとえば?」
「えーっとそうですね……」


まさか突っ込まれるとは思わず、なにをどうしようかと頭の中を高速回転させる。具体的な答えを用意してから言えばよかったと後悔だ。


「一緒にご飯を食べたり、たまにはお酒も飲んだり、それから映画なんかも行ったりして」
「つまり普通の夫婦みたいにってことだね」
「あっ……そうなりますね」


言われて初めて気がついた。おかしさが込み上げて、千景と笑い合う。
< 121 / 301 >

この作品をシェア

pagetop