離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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その週末の午後、百々花はいよいよ千景のマンションへ引っ越すことになった。
家具や備品などは揃っているし、荷物といえば洋服や本、化粧品の類だけ。それでもキャリーバッグや旅行カバンだけでは収まらず、ダンボールをいくつか使って運び込む。
それほど遠いわけでもないし、なにか必要があれば取りに帰ればいいだろうとなった。
一度来ただけのマンションに到着し、改めて桁違いの高級さを思い知る。この前は酔って目覚めた朝のうえ、一夜にして結婚という異常事態だったため、じっくり観察する余裕もなかった。
低層で戸数の少ないマンションながら、コンシェルジュが対応したきめ細かなサービスがあるらしい。ざっと説明されただけでは、とても覚えきれなかった。
必要に応じて、そのときにまた聞けばいいかと楽観的に考え、部屋の中を案内される。
広いリビングのコーナーの棚には、写真立てがいくつか飾られていた。
「このクルーザー、千景さんのものなんですか?」
真っ先に目に入ったのは、真っ白なクルーザーをバックに港で撮られたものだった。とても綺麗な船体だ。