離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

彼の足音が憂鬱そうに聞こえるのは、ため息を耳にしたせいだろう。
脱いだばかりの靴を履き、千景が振り返る。


「すぐに戻るけど、先にお風呂に入るといい」
「わかりました」


心配するなという意味か、千景は百々花に軽く笑いかけて玄関を出た。

父親に無理やり結婚させられそうになっていると言っていたから、もしかしたらその相手……?

とっくに閉まった扉を見て、しばらく呆然とする。あまりにもすごい勢いだったため困惑する以外にない。

とりあえず言われたようにお風呂に入ろうと、着替えの準備を始める。もらった指輪は丁重にケースへしまった。

パジャマは昨日買ったばかりの新品。いくら形ばかりの結婚とはいえ、着古したものでは色気がなさすぎる。
べつに千景に見せるためではないと、訳もなく心の中で呟いた。

あたたかみのあるクリーム色でまとめられたパウダールームもバスルームも、ライトを浴びて艶々。グレードの高さはもちろん、清潔感があって気持ちがいい。

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