離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
大きなバスタブにはすでにお湯が張られていて、バスソルトなのか甘い香りもする。百々花のために千景が気を遣ってくれたのかと思うとうれしくなる。
シャワーを浴びてちょうどいい湯加減の湯船に身体を沈めると、自然と「あぁ」なんて声が漏れてバスルーム内に響いた。
手足を伸ばしてゆったりと浸かると、ふと千景は大丈夫かなと心配になる。
もしも彼女が縁談の相手だとしたら、見るからに納得していなかった。
あの様子だと、今ごろ責められているかもしれない……。
考えるほどに気になり、お風呂にゆっくり入っている気分でもなくなる。ものの三分と経たないうちに、百々花は勢いよくバスタブからあがった。
なんとなく気が急いて、慌てて髪を乾かしてパウダールームを出る。すると千景は、リビングでちょうどワインの栓を抜いたところだった。コルクが、ポンと小気味のいい音を立てる。
「おかえりなさい」
その言葉が正しいのか微妙なところだけれど、ほかにいいものが見つからない。
「ただいま」
千景が百々花に合わせる。