離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


千景の声で息を吹き返す。スッと息漏れの音が聞こえるくらいに固唾を飲んでいた。

インターフォンを押して待つ間も手は繋がれたまま。年配の小柄な家政婦が現れても、千景の指が絡められていた。

そつのない仕草の家政婦に案内されたのは、二十畳以上はありそうな広々とした和室。壁の間接照明や天井と一体化させた照明が、和風ながらもスタイリッシュである。
窓の部分には障子を使用して和の雰囲気を出しつつ、壁の木の雰囲気に合わせた畳がバランスのいい和室を形作っている。欅材のテーブルが中央に鎮座していた。

そこに千景と並んで腰を下ろす。


「旦那様はすぐにいらっしゃいますので、もう少々お待ちくださいませ」


お茶を淹れてくれた家政婦が退出し、百々花が深呼吸を何度かしているとうしろで引き戸が開いた。
ゆったりと畳を歩く気配に身をすくませる。少し俯き加減に、彼の父親が目の前に座るのを待った。
微かに息を漏らしつつ、父親が座椅子にあぐらをかく。


「父さん、こちらが百々花さんです」


千景の紹介を受けて、百々花はそのまま頭を下げた。
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