離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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その日の午後、ひまわり農家へのお礼も兼ねて房総へ電車を乗り継いで向かった百々花は、その足で金谷港に置き去りにしていた車を回収。
帰宅後、トマトベースのロールキャベツに卵入りオニオングラタンスープ、ハムとポテトのサラダを作り、あとは千景の帰りを待つのみとなった。
会場の様子はどうだろうかと気になっていた昼間に、【フェアは大好評】とメッセージアプリで一度だけ連絡がきたが、夕方に『帰りは少し遅くなる』と電話が入っていた。
どことなく急いでいるような声色だったが、フェア当日であればそれも当然。片づけを見守ってから帰るのだろう。
今夜は、千景に自分の気持ちを伝える。
そう心に決めているせいか、そわそわと落ち着かない。好きだと告白した後のふたりがどうなるのか、まったくわからないからだ。
このまま離婚前提の結婚生活が続き、いつか終止符を打たれるのか。それとも千景に想いが通じて、ずっと一緒にいられるのか。
考えるたびに違う未来を想像して、穏やかではいられない。
でも、もしもこの想いが届かないとしても、今百々花の心にある千景の存在に変わりはない。好きという気持ちは正真正銘の恋心だから。
間もなく午後九時。
そろそろ帰ってこないかなと、百々花が壁掛け時計を見たときだった。
鍵を開けられる音がして、急いで玄関へ向かう。