離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
きっと本当にそういうつもりではなかったのだろう。単純に百々花を困らせようとしていただけ。千景にも迷惑をかけるとまで考えが及ばなかったに違いない。
恋は盲目。周りがなにも見えなくなったのだろう。
千景は極めて冷酷な表情を浮かべ、香織の手を離した。
「金輪際、俺たちに近づくな。いいか? もしもまた今回のようなことがあれば、次こそ俺も容赦しない」
千景の顔は、百々花でも震え上がるほどに冷たいものだった。容赦しない。本当にそう考えているのは間違いない。
香織もその顔を見て、ビクッと肩を震わせた。
「わかったから。もう絶対になにもしないから……!」
だからお願い許してと、その目が訴えている。
「千景さん、もういいから」
思わず百々花まで懇願する。ひどい仕打ちをしたのは憎むべき点だが、千景を想うあまりにしでかしてしまったのだ。そこまで好きになる気持ちはわからなくもない。