離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
久松香織の父親は日本でも有数の財閥のトップで、弘和とは幼馴染という間柄。久松財閥は、会計事務所を経営している弘和の大切なクライアントのひとつでもある。
七歳年下の香織とは千景も昔から顔見知りではあるが、彼女を恋愛対象として見たことはなく結婚話に困惑していた。
香織に妙に慕われているのも手を焼いている。
「ひとつくらいは父親の言うことを聞いてもいいんじゃないか?」
弘和は背もたれから身体を起こし、開いた両膝の上に腕を乗せて千景をじっと見据えた。
会計事務所を継ごうとせず、自分の好きな道に進んだことを言っているのだろう。結婚くらいは弘和の勧める相手にしろと。
「申し訳ありませんが、結婚相手は自分で決めます」
「まぁ急いで結論を出さなくてもいいだろう。香織さんとも一度ゆっくり話したほうがいい。会いたいと言っていたぞ」
弘和は宥めるように手をひらひらとさせて、穏やかな笑みを浮かべた。
「忙しいので時間をとれそうにありません」