離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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千景が仕事を終えて一階でエレベーターを降りると、従姉である高坂美咲が入れ違いで乗り込むところだった。
千景よりふたつ年上、三十五歳の美咲は同じビル内で弁護士事務所を経営している。シュプリームウエディングの顧問弁護士を彼女に依頼しているため、顔をよく合わせる仲である。
初めての式場建設の際に土地の買収で不動産会社とトラブルになった際には、手際よく解決。頼れる弁護士だ。
「今日はもうあがり?」
「たまには早く帰らせてくれ」
「それじゃまるで、私が帰らせてないみたいじゃない」
美咲は長いストレートの髪をかき上げ、千景を軽く睨んだ。
グレーのパンツスーツで一見地味に見える格好は、真っ赤なピンヒールを履いているため逆に人目を引く。もともと長身のため、高いヒールで百八十センチの千景と身長差はさほどない。
近くに住む父方の従姉のため、子供の頃からの遊び相手だ。
「そういうつもりで言ったんじゃない」
従姉への甘えから出た愚痴のようなもの。