離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
百々花は千景を見つめたまま呆けたようになる。時が止まっているみたいだ。
「わかりました」
かろうじて聞き取れるような声だった。
「私、流川さんと結婚します」
ゆらゆらと言うよりはふわふわと夢見心地。そんな瞳で百々花は答えた。
「ありがとう。それじゃ、すぐに手配しよう」
「……手配?」
思わず手で支えたくなるほどカクンと首を傾け、百々花が聞き返す。
それには答えず、千景は胸もとから取り出したスマートフォンで、あるナンバーを呼び出した。
千景が電話している最中、隣では彼女の友人の「わー! 百々花が結婚だー!」というかなりハイテンションな喜びの声があがった。