離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


◇◇◇◇◇

それから約三十分後、ラウンジにカツカツというテンポの速いヒール音が聞こえ、待っていた人物が到着した。
百々花とその友人は、隣で楽しそうに祝杯をあげている。


「ちょっと、いったいどういうつもりなの?」


従姉の美咲だ。


「忙しいところ悪い。持ってきてくれたか?」
「私を便利屋かなにかと勘違いしてない?」


不満そうに片方の眉を上げる。


「してないよ。頼りになるお姉さまだ」
「ったく、調子がいいんだから。一杯ごちそうしなさいよ? はい、これ」


美咲は千景の左隣に座り、バッグから取り出したものを千景に手渡す。婚姻届だ。


「で、これをどうするつもりなの?」


電話で詳細を説明せず、ただ婚姻届を一通持ってきてほしいと頼んだため、美咲はなにがなんだかわからない様子だ。
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