離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
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それから約三十分後、ラウンジにカツカツというテンポの速いヒール音が聞こえ、待っていた人物が到着した。
百々花とその友人は、隣で楽しそうに祝杯をあげている。
「ちょっと、いったいどういうつもりなの?」
従姉の美咲だ。
「忙しいところ悪い。持ってきてくれたか?」
「私を便利屋かなにかと勘違いしてない?」
不満そうに片方の眉を上げる。
「してないよ。頼りになるお姉さまだ」
「ったく、調子がいいんだから。一杯ごちそうしなさいよ? はい、これ」
美咲は千景の左隣に座り、バッグから取り出したものを千景に手渡す。婚姻届だ。
「で、これをどうするつもりなの?」
電話で詳細を説明せず、ただ婚姻届を一通持ってきてほしいと頼んだため、美咲はなにがなんだかわからない様子だ。