離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活
「結婚しようと思ってね」
「……まさか香織ちゃんと?」
どんな心境の変化があれば、彼女と結婚しようと思えるというのか。
「そんなわけがないだろう」
「そうよね。それで誰と?」
バーテンダーとなにを飲もうかやり取りをするついでに、美咲が横目でチラッと千景を見る。興味があるのかないのか、どっちつかずの様子だ。
千景は、右隣に座る百々花を親指で指した。
「えっ、お相手がいるの?」
まさか同席しているとは思わなかったらしい。カウンター越しに美咲が首を伸ばすや否や、調子っぱずれの声を立てる。
「えっ!? 百々花さん!?」
名前を呼ばれた百々花はスローモーションで振り向いた。そして、美咲を見て「あれ? 高坂さん……?」と不思議そうに首を傾げる。
焦点が合ってないのが少し気がかりだ。