離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活

「ちょっと、どういうことなの?」


千景のジャケットを強く引っ張り、美咲が小声で問いただす。


「神谷百々花さんと結婚することになった」
「なんで」
「なんでって、まぁいろいろあってね」
「いろいろってなによ。……まさか、香織ちゃんとの結婚を逃れるため?」


さすがは美咲。勘が冴えている。


「もちろんそれだけじゃない。百々花さんも事情があるんだ」
「……契約婚ってやつ?」
「そんなところだ」


美咲の目が見たこともないほど細められる。疑っているような表情だ。


「とかなんとか言って……」


意味ありげに言葉を止め、口角を二ッと上げる。とてもいやな笑みだった。


「ともかく、俺は彼女と結婚する」
「百々花さんの気が変わらないうちに自分のものにって魂胆ね」
「妙な言い方はよせ」


美咲はふふふと笑い、カウンターに出されたカクテルに口をつけた。
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