離婚前提。クールな社長と契約妻のとろ甘新婚生活


◇◇◇◇◇

タクシーで自宅まで帰ってきた千景は、酔いつぶれた百々花をベッドに寝かせ、そのそばに腰を下ろした。

顔にかかったひと筋の髪を指ですくうと、くすぐったいのか唇がわずかに動く。上気した頬がなんともいえずセクシーで、触れずにはいられない。指先で軽く撫でると、百々花の唇から吐息が漏れた。

あの後、ホテルのラウンジで美咲が持ってきた婚姻届にふたり揃ってサインをし、彼女の友人と美咲には証人欄に名前を書いてもらった。

百々花が結構飲んでいたため、明日の朝、起きたら覚えていないと言いださないかと心配だが、そのときは顛末を話して聞かせればいいだろう。
婚姻届にサインは記入済み。もう後には引けない。いや、引くつもりもない。


「おやすみ、百々花」


千景は百々花の頬にもう一度触れてから、ベッドルームを後にした。
< 82 / 301 >

この作品をシェア

pagetop