副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
それから数店舗回って、啓太さんはパールがかったオフホワイトのワンピースと、それに合わせた軽いジャケットを選んだ。

「プレゼントした、このガーネットにもよく似合うし、美鈴の綺麗さが際立つ」

なんて言うから、再び私は真っ赤になっていた。
それに加えて、ショッピング中はずっと指を絡めて手を握ったままだし、私がドキドキしてしまうようなことを、随所で囁いていた。
激しく動く心臓が、苦しくて仕方がなかった。
でも、同時に本物の最愛の人のように扱われることが、嬉しくもあった。

「さて、そろそろ食事にしよう。この先にレストランがあるから、そこでいいかな?」

「はい。お任せします」

啓太さんが案内してくれたのは、私が見慣れているよりは若干高級そうだけど、カジュアルなイタリアンのお店だった。
この契約をした時、食事なんかの費用は啓太さんがもつと言い張られた。それなら、せめて気後れしそうな高級店はやめてくれるようにお願いしたから、考慮してくれたんだと思う。

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