副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「そうか。光栄だなあ。僕が美鈴の初めての彼氏ってわけだ」

「か、彼氏……ですか?」

「というより、それをいきなり超えて婚約者だけど。
じゃあ、美鈴はこんなふうに、異性と手をつなぐことも初めて?」

啓太さんは、指を絡めるようにして私の手を握った。
思わず顔が赤くなる。

「そ、そうです。初めてです。デートだってしたことないですから」

「美鈴、かわいいなあ。これから、美鈴のことを僕が独占できると思うと、嬉しいよ」

啓太さんの言葉に動揺してしまう。
だって、これは契約の関係なのに……

こんなにあまく、優しい言葉をかけられ続けたら、本物の恋人だと勘違いしそうになる。
啓太さんは、私のことを本当に好きでいてくれるのだと……
私は、慌てて自分の考えを打ち消した。

「美鈴が、自分の本心を、自分の言葉で言えるように、全力を尽くすから。そのつもりでいて」

啓太さんに、思わぬ真剣な目で見つめられて、私は頷いた。
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