副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「生徒って言うと、少し違うかもしれませんが……羽山先生には、すごくお世話になっていて、スタジオには今でも顔を出してますよ。ここでの演奏も、先生に紹介していただいて始めたんです」

「華さん、僕も美鈴も、昔は羽山音楽スタジオでピアノを習っていて、そこの発表会で出会っていたんですよ。再会したのは最近なんですけどね」

「まあ、そうなんですか?素敵な出会いですね。
美鈴さんは、失礼ですけどおいくつなんですか?」

「24歳です。習っていたのは、5歳から9歳までの短い間なんですけど」

そう話すと、華さんが何やら考え出した。

「華?どうかした?」

須藤さんが、心配そうに華さんを見ていた。

「うーん……今から19年ちかく前……私、いろいろあって、一時期ピアノを辞めていたんですけど、ちょうどそれぐらい前に、羽山先生に声をかけていただいて、スタジオに行くようになったんです。そこで出会った小さな女の子がきっかけで、もう一度ピアノを弾き始めたんですよ」


< 125 / 239 >

この作品をシェア

pagetop