副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「お母さん……」

堪えきれず、涙が溢れてきた。

「美鈴、親はね、何よりも子どもの幸せを願うものなのよ。お母さんは、その負担になりたくないの」

「うん。ごめんね。でも、負担だなんて思ってないことだけは、わかってね」



その夜は、久しぶりに母と隣り合わせに布団を敷いて、眠りについた。


そして、私が一番幸せだった、〝みいちゃん〟と呼ばれていた頃の夢を見た。




目覚めた時、夢の余韻のせいか、柄にもなくあの頃にもどりたい、なんて思ってしまった。

あの人を見かける前に。
あの人を知る前に。
あの人に憧れる前に。

啓太さんに、出会わなければよかった。





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