副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
それから1時間弱、たまにロビーに出ながらたくさんの演奏を聴いた。
順番が後ろになるほど、演奏者の年齢が上がっていき、曲も難しいものになっていった。

その後半よりにあったのが、〝東山啓太〟の名前だった。
もちろん、その頃は名前なんて全く知らなかったんだけど。
当時の東山さんは、高校生ぐらいだっただろうか。
その初めて行った発表会で、私は彼に釘付けになっていた。
それは、20人ちかくいた発表者の中で、男の子はたった2人しかいなかったから。
もう1人は、小学生ぐらいの子だ。
なんだか物珍しくて、すごく印象的だった。

「ママ、男の子でもピアノを弾くんだね」

「そうよ。ピアノで有名な人って、意外と男の人が多いのよ」

「そうなんだあ。ねえ、ママ。みいちゃんもピアノをやりたい!!」

「えっ?本当?」

「うん、弾いてみたい!!」

「そっかあ。じゃあ、後で夕ちゃんのママに詳しいことを聞いてみるね」

「うん」
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